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ALIVEの僕が読んだ本
<お薦めの本>

新刊・既刊にこだわらず僕が読んだ本の紹介&感想です。
最近はほとんど文庫本ばっかり読んでます。
ほぼ毎日読むものですから、予算的に単行本は厳しいです。
それに、バスの中で読むには文庫本がサイズ的にちょうどいいです。
読みかけの文庫は、メーターパネルのハンドルの上にちょうど納まるんです。
ちょこっと別作品に手を出しては結局浅田次郎に戻ってきます。


あおぞら
著・星野夏
ポプラ社
泣きました。
何度泣いたか分かりません。


現在は19歳になられた星野 夏さんの
中学校から高校にかけての手記です。

もっぱら浅田次郎かミステリー、サスペンスを読んでるので
この手の本は滅多に手に取らないし、読もうと思いません。
でも、この「あおぞら」は新聞の広告に何度か出ていて
それを見て、何か気になっていました。
それで昨日、本屋さんに何冊か仕入れに行ったとき
「あ、これ新聞に出ていたヤツだ・・・」と思って一緒に買いました。
本のオビそのままに書くと

「裏切り、レイプ事件、恋人の死・・・。18歳・女の子の感動手記。
―――中学2年生のとき、あの事件が起きて、世界が終わった。
あたしは汚い。なのに、こぅちゃんは抱きしめてくれたね。
ありがとう、こぅちゃん。あたし、生きるよ!」


強烈に印象に残った一書です。
正直、読むのも辛くなるかも知れません。
でも、それ以上に心に残るものがあります。

二十一世紀への対話(上・中・下)
池田大作
アーノルド・トインビー
聖教新聞社
21世紀の教科書とも人類の教科書とも言われ24カ国で出版されているベストセラーです。
当時創価学会第三代会長、池田大作氏と20世紀最高の歴史学者、アーノルド・トインビー氏との対談です。
発刊されて30年近くなるのですが当時の世界のあらゆる問題に対して対談された内容は
現在の世界にもそのまま通じることばかりです。
多くの海外の有名大学の教科書に採用されるなどまさに21世紀の大事な世界の進路を指し示しています。
二人の偉大な精神の対話は難しく、読み進むのはかなり困難で根気がいりますが、
一度は死ぬまでに読むべき大書と感じました。
僕自身、難解さに1度は挫折して、今回は2度目の挑戦です。
人類として生を受けたからには1度は読むべき人生の教科書であると断言します。

日輪の遺産
著:浅田次郎
講談社文庫
すいません、浅田次郎ファンなもんで、どうも浅田次郎が多いです。
帝国陸軍がマッカーサーから奪い取った時価二百兆円の財宝を終戦直前に隠した。
突然、心臓発作で亡くなった老人が残した手帳には驚くべき真実が書き残されていた。
登場する人物のキャラクターがプリズンホテルとだぶりそうなのもありますが
物語そのものは十分に感動させてくれます。
後の「シェエラザード」に通ずるものがあります。
やっぱりいいなぁ、浅田次郎。

霞町物語

著:浅田次郎
講談社文庫
青山と麻布と六本木の大地に挟まれた谷間には、夜が更けるほどにみずみずしい霧が湧く。そこが僕らの故郷、霞町だ。あのころ僕らは大学受験を控えた高校生で、それでも恋に遊びにと、この町で輝かしい人生を精一杯生きていた。
と、オビの文章を引用すればそうなります。
主役は祖父が開いた写真館の一人息子。婿養子の父親。
きっぷのいい祖母と、その娘である母と隠された過去。
何より師弟関係の祖父と父の写真に対する思いが心に響く。
僕はこの祖父の写真に対する心意気に惚れ込んでしまった。
浅田氏特有の心優しき幽霊?の出てくる話もあります。
連作ものの短編集です。

臨場
著:横山秀夫
光文社
検死官(検視官)が主役のちょっと異色の警察小説です。
しかしおもしろい。「陰の季節」とはまた違ったおもしろさです。
これも短編集で、出演者はほぼ同じ連続ドラマのようです。

終身検視官の異名を持つ倉石。その検視は、黒星なしの他の検視官とは異質の眼をもっていた。
誰もが気づかないところを見つけだし独自の推理で真相を暴き出す。
読みながらワクワクしてしまいます。

暗いところで待ち合わせ
著:乙 一
幻冬舎文庫
著者名は「おつ いち」と読みます。
ホラー作家という認識があったので、そのつもりでこの本を購入したのですが、いい意味で期待はずれでした。
表紙を見る限りはホラー風なんですけどね。

ある朝、駅のホームで起きた突き落とし殺人事件。
視力をなくしながら一人暮らしをするミチルがその頃から感じる部屋の中のいつもと違う気配。
犯人として追われる身で、ミチルの家に気づかれないように無断で暮らし始めたアキヒロ。
いつかミチルも気づきアキヒロの存在を確信しながらも知らないふりをする。
無言で過ぎるふたりの奇妙な同棲?生活。
そしていつしか言葉はなくとも心が通い合っていくミチルとアキヒロ。
アキヒロにとってはミチルの家に隠れ住もうと決意する理由があった。

 はっきり言ってホラーとは違うような気がします。
奇妙なふたりの関係ですが、読み進むうちに何となく心が温かくなるようないい作品でした。
これは個人的におすすめのタイトルです。

地下鉄に乗って

(メトロにのって)
著・浅田次郎
講談社文庫
徳間文庫
永田町の地下鉄駅の忘れ去られたような階段をあがるとそこは30年前の風景があった。
父との反目の末、30年前に地下鉄に身を投げた兄を救えるかも知れない。
現代に戻ってきた信次の前にやはり兄の姿はなかった。
その後も幾度かタイムスリップを繰り返すたびに時代がさかのぼっていく。そこで見た嫌いだった若き日の戦時中の父の姿が。そして最後に最愛の女「みち子」との隠された運命の真実。
「活動寫真の女」で感じたような何とも言えない切ない思いを感じてしまいました。

放課後

著・東野圭吾
講談社文庫
東野圭吾氏のデビュー作。
校内の密室の更衣室で生徒指導の教師が青酸中毒で死んでいた。
それを皮切りに女子校で短期間に起こるふたつの殺人事件。犯人は同一人物か。そして職員か、生徒か?
純粋な推理小説ですが、いったんは説けたかに思う密室の謎のどんでん返し。
何より、個人的に女子校が舞台というのが気に入った。

陰の季節

著・横山秀夫
文藝春秋社
文春文庫
以前から読みたかった横山秀夫氏の短編集。
短編集そのものはあんまり好きじゃないんですが、これは短編といっても中身が濃い。まるで長編者を読んだくらいの思いです。刑事物ですが、事件を追うような一般的なものではなく警察組織の中の駆け引きや推理。
普段表面には決して出てこない管理部門の人間を主役にしていて、なおかつ緻密な描写。
事件者以上にドキドキしながら読んでいました。

動 機

著・横山秀夫
文藝春秋社
文春文庫
上記と同じ横山秀夫氏の短編もの。
この作品集は元服役囚や新聞記者などを主人公にして、これまた心理描写に感心してしまいます。
売れてるのも納得しちゃいます。

プリズンホテル 1 夏
プリズンホテル 2 秋
プリズンホテル 3 冬
プリズンホテル 4 春

著・浅田次郎
徳間書店
集英社文庫
人情物をかかせたら抜群の浅田氏ですが、その印象が強かったせいかなかなか手を付けなかったタイトルでした。
大分前の作品なので今頃?と思う方もいるでしょうが・・・。
「椿山課長の七日間」を読んで浅田氏の類い希な笑いのセンスに惚れてしまい、
初めてこの作品も読んでみたいと思ったのです。
「夏」を読んだらすぐ「秋」が読みたくなって、すぐまた「冬」と読み進んでいつの間にか「冬」まで
全巻あっという間に読み終えていました。
さすがは浅田氏で、抜群のユーモアの中にホロリと泣けてしまう人情ばなし。
いまはほとんど見かけなくなった、昔のよき時代の日本人の気質が描かれていて
すごく心がいやされて、読み終えたあとなんだかすごく元気になれる作品です。
いいなぁ、仲蔵親分、いや仲蔵オーナー。

蛇にピアス
著・金原ひとみ
集英社
「蹴りたい背中」と同じく芥川賞を受賞した作品です。
言うなれば芥川賞らしい?作品で難解です。
最近の若者の言葉遣い、日本語の破滅を言われる中、そんな言葉をふんだんに使った作品です。
読んでいて、これってポルノ小説?と思ってしまいました。
自己を破滅に向かわせながら痛みが愛となっていく。
124ページという、「蹴りたい背中」以上に短い作品で1時間ほどで読んでしまいました
個人的には作品内の「ルイ」という女性の思考には正直、付いていけません。
こんな若者が日本を徘徊しているとしたら日本の将来はかなり暗く先のない物に思えます。
でも、読んだあと、妙に心に引っかかる奇妙な作品です。

リミット
著・野沢 尚
講談社
臓器売買ビジネス・誘拐をテーマにしたミステリー。
ミステリーと言うべきかサスペンスと言うべきか。
作品としては「深紅」以前の作品になりますが、ある誘拐事件を担当していた婦人警官が、自ら誘拐事件の当事者に引きずり込まれ、誘拐された一人息子を取り戻すべく、指名手配犯となりながら孤軍奮闘する婦人警官の物語。
映画化になるなら松島菜々子に演じてもらいたいような気がしてます。
いつもながら最後のどんでん返しの野沢マジック。
この人の作品、好きですねぇ。読みやすくて、それでいてストーリーが巧みで引きずり込まれてしまいます。
最後のお楽しみを期待しながらワクワクしてしまいます。

蹴りたい背中
著・綿矢りさ
河出書房新社
今回、最年少で芥川賞受賞作となったこの作品。
140ページ(実際は138ページ)と割と短いので1日で読んでしまいました。
まぁ、芥川賞受賞作で長い物はないですが。
孤独な高校1年生の主人公長谷川初実(通称ハツ)の何気ない日常をハツの目を通して描かれた作品です。
同じ孤独な男子生徒、にな川との友情とも言えない、恋とも言えない微妙な心具合が、今の若い子独得の文体でうまく表現されていて、思わずくすっと笑ってしまったり、にやけてしまったり。
今までの芥川賞受賞作のように難しい理解しがたい抽象的な表現は無く、実に読みやすい。
自分の15、6歳の頃を思い出して、そうそう、こんな感じだったなぁと懐かしんでしまいました。
気楽に読めて、それでいて納得してしまう、いい作品です。

深紅

著・野沢 尚
講談社文庫
前から読みたかったタイトルです。
買おう買おうと思っているウチに文庫本が出てしまったので文庫本を買いました。
第一章、第二章の息苦しくさえなってくるような緊張した展開。
第三章以降はぐっと力が抜けたしまったように感じてしまいますが、第三章以降を別物としてとらえたらまた面白いかも。
一家4人惨殺事件のただひとりの生き残り奏子と加害者の娘未歩。逢ってはいけない二人が会ったために起こる事件と心の葛藤。文章の表現力はずば抜けています。変に凝った表現方法ではなく、ごく自然な言葉で「分かる分かる、この感じ」と納得してしまいます。自然に入ってくる情景描写とかはさすがだなぁと感じます。
是非、皆さんにも呼んで欲しいおすすめの一書です。

分身

著・東野圭吾
集英社文庫
函館生まれの鞠子18歳。東京の女子大生双葉20歳。
双葉がアマチュアバンドのTVコンクールに出演したことから運命の時計が回り始める。
遠く離れた瓜二つの女性二人が共になくなった母親の真実を突き止めようと北海道と東京を舞台に繰り広げるハラハラのサスペンス劇。
東野氏の分かりやすい文書構成でちょっと厚めの本もすいすい読めます。
最後の最後で逢いたかった瓜二つの時空を越えた姉妹の巡り会い。
二人の女性に逢いたくなってきます。

虚貌(kyobo) 上・下巻
著・雫井脩介
幻冬舎文庫
オビを見ると一応ミステリーに位置づけられているようです。
ジャンルは何にせよ、これはおもしろい!と思いました。
文の書き方がいいんでしょうね。なんか自分で書いたような、素直に入ってくる文体です。
あまり文章をこねくり回して過剰な比喩や詩的な文体は読んでいて嫌気がさしてくるものですが、これは非常に読みやすい文です。
秘密にやっていたアルバイトがばれて運送会社を解雇になった3人が逆恨みから社長一家を襲い夫婦を殺害の後、家屋に火をつけた。それから21年後に繰り広げられる復習劇。トリックが奇抜で賛否両論でしょうがストーリーは掛け値なしにおもしろい作品だと思います。
定年を控えたモリさんこと滝中刑事が実に魅力的です。
テレビでドラマ化されるみたいですが、正直言って辞めてほしい。
原作はすごくおもしろいのに、映画化やドラマ化されてはそのすべての作品はことごとく期待を裏切られてきましたので、
今更何も日本の映画界、TV界には期待していません。
原作を読んだら映像化したものは見ないようにしてます。

症例A
著・多島斗志之
角川書店
ある意味サイコ小説家もしれませんが、おなじ多重人格を扱った作品はほかにも数多くありますが、この作品は興味本位なオカルト的なものではなく、莫大な資料を基にかなり正確な部分を描いていると、精神科医も納得するものだということです。
サイコ物と言うよりは、人間の内面、精神の貴さを改めて考えさせられる小説です。
 17歳の少女・亜左美を担当することになった精神科医の榊。人と人が真剣に向かい合う緊張感。それに巧みに絡んでくる博物館の戦時下にあった重大な秘密。クライマックスに従って謎が次第に明らかになり一つの線でつながっていく。

砦なき者
著・野沢 尚
講談社
「波線のマリス」や「深紅」で有名な方ですが、この「砦なき者」は「波線のマリス」と同じマスコミ・テレビ業界を利用して起こる犯罪をテーマにしています。マスコミによるプロパガンダの恐怖をうまく表現しています。
事実、物語と同様に事実を検証せずにマスコミで報道された物を鵜呑みにして真実として簡単に信用してしまう現在の日本人の危うさに警鐘を鳴らす作品です。
マスコミの真実無視・視聴率主義・売上主義にどれほどの人間が被害者になってきたことか。
「松本サリン事件」や「信平狂言訴訟」など枚挙にいとまがありません。
TV映像という手段で若者のカリスマとなった邪悪な男とその男の偽善を見抜くTV業界の男達の壮絶な戦い。
読みながら「オウム教」を想像してしまいました。

白夜行
著・東野圭吾
集英社
854ページのかなり分厚い本です。普通の文庫本の3冊分くらいあります。
本来なら上下巻とかに別れても良さそうなもんですが、1巻でまとめてるためホントに厚い本になってます。
最近は普通の単品物ではすぐ読み終わってしまうのでなるべく厚くて長編な物を選んでます。
この作品は19年という長いスタンスに渡る二人の男女の決して明るくない生き様を廻りの人物の目を通して描かれています。1973年、大阪の廃墟ビルで質屋の中年男性が殺害された。その被害者の息子・桐原亮司と容疑者の娘・西本雪穂。お宮入りしたその事件を定年後も追い続ける刑事・笹垣。桐原亮司・西本雪穂、二人の近辺で起こるいくつもの不可解な犯罪。それが物語が進につれて徐々に繋がっていく。
悲しく寂しい二人の人間の生き方を長編ミステリーとして構成しています。
上記紹介の「永遠の仔」は当事者の内面から掘り起こしているのに大して、この「白夜行」は当事者の心の動きはいっさい表記せず、関係者の目を通してのみ二人を表現している新しい表現の仕方だと思います

永遠の仔 
上・下巻
著・天童荒太
幻冬舎
発売当初に読んだ本ですが、最近もう一度読み返してみました。
小児精神科病棟で知り合ったルフィンとジラフとモウル。
18年後再び巡り会ってしまった3人。18年間守り続けてきた3人の秘密。
子供の頃の精神的なトラウマを抱え見えない運命に翻弄されながらもがき苦しむ。
そして最後に18年前の秘密の真実が思わぬ形で判明する。
緻密に計算された巧みなストーリー。2度目ですが飽きませんでした。
不思議なもので、今回は以前、TVで放送されたイメージが残ってるせいか、登場人物がそのままTVの配役で想像しながら読んでしまいました。

孤独の歌声
著・天童荒太
新潮文庫
「永遠の仔」で有名ですが、それより6年ほど前の作品で第6回日本推理サスペンス大賞優秀作を受賞した作品に加筆したものです。一人暮らしの女性を監禁、殺害する異常犯と女性刑事とシンガーソングライター志望の青年が絡み合う物語。
一般の推理ものサスペンスものとは違い犯人が初めの方から登場してしまうのですが、物語の中での三人の絡絡ませ方が斬新です。
この書き方は「永遠の仔」にも遺憾なく発揮されています。
サスペンスの秀作です。

青の炎

著・貴志祐介
角川書店
4年近く前の作品ですが最近ジャニーズのアイドルと松浦亜矢の出演で映画化されました。日本の映画のほとんどがそうですが原作を読んだら映画は見るべからず。
今まで原作で感動して見た映画は全部裏切られてきましたから。
貴志祐介氏には過去に「黒い家」という映画化された作品もありましたが、それも例外ではなく映画を見てがっかりしました。
この「青い炎」は高校生が妹と母を守るためにやむにやまれず計画的に殺人を犯す物語です。出だしは、何だ高校生の話かと思いきや、読み進むにつれ引き込まれてしまいます。ある意味、少年・櫛森秀一に同化しながらハラハラドキドキし、また純粋な心に感動さえ覚えます。

活動寫眞の女
著・浅田次郎
集英社文庫
昭和44年の京都。当時日本のハリウッドだった太秦撮影所を中心とした、3人の京大生の恋と友情のほろ苦い青春の思い出。主人公・三谷薫の親友・清家忠昭が恋をした悲しい思いを胸に秘めた絶世の美人女優・伏見夕霞はこの世の人ではなかった。
当時の映画界の史実に基づいた巧みなストーリー。
近代版、牡丹灯籠とも言えますが胸にジーンと来る物語です。
クライマックスの主人公と伏見夕霞のやりとりは思わずあまりに純粋な心に泣けます。
絶対、おすすめの一書です。

モンテ・クリスト伯 全7巻
著・アレクサンドル・デュマ
岩波文庫
言わずと知れた古典の名作です。日本では「厳窟王」として有名です。
物語の大筋は誰もが知るほど有名だと思いますが、嫉妬や欲得によって無実の罪で牢獄につながれたエドモン・ダンテスが脱獄後に緻密な計画で繰りひろげる復讐劇。
小学校の頃、児童版は読んだことがあるのですが、恥ずかしながら原版を読んだのは、ごく最近のことです。
全7巻という長さから、取っつきにくさはありますが、人生1度は読むべき名著と思います。
読み始めたらもう、おもしろくて止まりません。読みながら次の展開が待ち遠しくて4週間ほどで完読しました。

薔薇盗人
著・浅田次郎
新潮社
これも浅田次郎氏のものですが、短編集です。
六つの物語が収録されていますが、短編の名手といわれる浅田氏。
過去に有名なのは「鉄道員」「ラブレター」など、映画化された物も数多くあります。
本書の中で僕が好きなのは、「ひなまつり」という物語。
小学校6年生の少女が主人公で淡い恋心を抱きつつ母の年若い交際相手に「お父さんになってほしい」と、言うに言えないいじらしさ。ほろりとします。

椿山課長の七日間

著・浅田次郎
朝日新聞社
突然死したさえない中年のデパート勤務の課長が、美女の身体を借りて七日間だけ「現世」に舞い戻ることを許された。現在の坊主丸もうけ主義の葬式仏教に軽い皮肉を込めながら展開する「あの世」と「現世」のコメディタッチの物語。
おかしくて、思わずプッと笑ってしまいますが、人情物を書いたら絶品の浅田氏。
最後はほろりとさせ、読者を感動させます。
お奨めの一書です。

壬生義士伝 上・下巻
著・浅田次郎
文芸春秋社
壬生浪と呼ばれた新選組にあって、ただ一人「義」を貫いた南部藩脱藩の吉村貫一郎の生涯の物語。
3年前に購入しながら長らく手をつけずにいた本です。新選組にあまり興味がなかったのもあります。浅田次郎氏の著作と言うことでとりあえず購入しておこうという気持ちだったと思います。
読んでみて、今までの新選組感が変わりました。男の真の友情とはこんなものか。「義」とはこういうものか。涙なしにはとても読めません。
何度読みながら泣けたことか・・・。
現代の私たちが忘れてしまった日本人の心意気を思い起こさせる名作です。


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